確定申告シーズンに入ると、医療費控除とならんでよく耳にする「セルフメディケーション税制」という言葉。
ながーいカタカナというだけでなんだか理解するのが難しそうに思えますが、仕組み自体はとってもシンプルなんです♪
- ドラッグストアでよく医薬品を購入する
- 健康を維持するために検診を受けるなど一定の取り組みをおこなっている
- 風邪くらいの病気なら病院を受診せず市販薬を飲んで治す
これらに当てはまる方は、セルフメディケーション税制によって税金の控除が受けられる可能性大です!
目次
セルフメディケーションとは
セルフメディケーションとは分かりやすくいうと、「自分自身で健康を管理する」という意味です。
ドラッグストアなど、処方箋なしで購入することができる一般用医薬品(OTC医薬品)を活用しながら、病気の予防や健康維持をおこなうことなどが該当します。
調子が悪いなと思ったら体温計で熱を測り、風邪の兆候だと感じたら一般用医薬品を飲んで安静にする。
これも立派なセルフメディケーションといえるのです。
セルフメディケーション税制とは
疾病予防や健康管理など、「一定の取り組み」をおこなう個人がOTC医薬品を購入する場合、一年間の購入金額の合計が12,000円を超えた部分について所得控除が受けられます。
ここでいう「一定の取り組み」についてもう少し具体的にいうと、
- 健康保険組合や市区町村が実施する、人間ドッグ各種健診などの健康診査
- 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
- 市区町村が健康増進事業としておこなう健康診査
- 勤務先で実施する定期健康診断
- メタボ検診、特定保健指導
- 市町村が健康増進事業として実施するガン検診
これらに該当する場合、「一定の取り組み」と見なされます。
なお、2017年1月1日から2021年12月31日までの間に、自己だけでなく自己と生計を一にする配偶者、親族のために購入したOTC医薬品の金額も含まれます。
また、セルフメディケーション税制を受けるためには、
- 所得税、住民税を納めていること
- 現行の医療費控除を受けていないこと
この2つにも該当する必要があります。
セルフメディケーション税制の対象商品
セルフメディケーション税制の対象成分は、平成31年4月時点で86成分が指定されています。
対象商品としては、
- 風邪薬
- 胃腸薬
- 鼻炎用内服薬
- 水虫・たむし用薬
- 肩こり・腰痛・関節痛の添付薬
などが当てはまりますが、上記薬効のすべての医薬品がセルフメディケーション税制の対象になるわけではありません。
一部の対象医薬品については、医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象商品である識別マークが表記されているので、こちらを参考にしてみてもいいかもしれません。
ただし、表記については義務づけられているものではないので、すべての医薬品に識別マークがついているとは限りません。
なおセルフメディケーション税制の対象商品の購入レシートや領収書には、セルフメディケーション税制の対象医薬品である旨が必ず記載されています。
セルフメディケーション税制と医療費控除
セルフメディケーション税制と医療費控除は、どちらも1年間でかかった医療費や医薬品の金額に応じて所得金額から税金が控除される仕組みです。
税金が控除されるという点では同じですが、控除される金額や制度としての大きな違いもあります。
医療費や医薬品の購入費が多い年には、どちらの制度を利用したほうがお得なのかも合わせて確認しておきましょう。
セルフメディケーション税制と医療費控除の併用は不可
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例としての位置づけなので、併用して受けることはできません。
医療費や医薬品の購入代金が一定額を上回った場合には、どちらか一方を選択しなければいけません。
セルフメディケーション税制と医療費控除の違い
医療費控除 | セルフメディケーション税制 | |
控除額 | 10万円以上※ | 1万2,000円以上 |
控除額の上限 | 200万円 | 8万8,000円 |
対象となるもの | 医療費、医薬品購入代、交通費、妊婦健診の費用など※ | 対象成分を含んだOTC医薬品 |
制度の有効期限 | なし | 2017年1月1日から2021年12月31日まで |
制度を受けるための条件 | なし | 一定の取り組みをおこなっていること |
※医療費控除の控除対象金額や対象となるものについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
セルフメディケーション税制と医療費控除、どちらがお得?
最大控除額の観点からいえば、医療費控除が200万円なのに対してセルフメディケーション税制は8万8,000円なので、医療費控除の方がお得だと言えます。
ただ、セルフメディケーション税制は、1年間のOTC医薬品購入費の合計が12,000円以上で利用できるので、あまり病院にかからず医薬品の購入が多い人にとってはセルフメディケーション税制を利用した方がお得になるといえそうです。
- セルフメディケーション税制の対象医薬品はOTC医薬品のみ
- OTC医薬品には医療費控除のみ適用でセルフメディケーション税制は対象外のものあり
このあたりも踏まえながら、どちらの制度を利用したほうがよりお得なのかを十分に検討してみるとよさそうですね。
さいごに
従来の医療費控除に比べると前提条件も多いですが、条件をクリアし申請さえしてしまえば税金からの控除と言う形で必ず取り戻せるお金です。
該当するOTC医薬品の購入代が多くかかった年には、ぜひセルフメディケーション税制が受けられることを頭の片隅に置いておくといいですね。